本文へ移動

サニースタッフブログ

ラベルの環境対応とリサイクル課題

2025-05-09
カテゴリ:技術コラム
NEW
技術コラムサムネイル-ラベルの環境対応とリサイクル課題について

近年、企業の経営方針として「サプライチェーン全体でCO₂排出量を大幅に削減する」「環境負荷物質の使用をなくす」といった目標が掲げられるケースが増えています。製品そのものだけでなく、製造工程や梱包・表示に使用される指示も、環境配慮の対象として見直しが求められる時代になりました。

ラベルは製品の一部として、商品情報やブランド価値を伝える重要な役割を果たしていますが、その一方でリサイクルや環境規制対応といった課題も抱えています。本コラムでは、ラベルが抱えるリサイクルの課題や、RoHS指令など環境規制物質への対応、さらに業界全体の新たな取り組みについてご紹介します。

\ こんなラベルが欲しかった! /
製品・サービスのカタログはこちら

ラベルが抱えるリサイクルの課題

ラベルは製品情報の表示やブランドイメージの訴求に欠かせない存在ですが、その一方で、使用後の廃棄において環境負荷の課題も抱えています。特にラベルに使用される剥離紙は、リサイクルが困難な素材であり、多くの場合は廃棄・焼却処理されているのが実情です。企業にとって、製品本体や梱包資材に加え、こうした副資材まで含めた環境配慮の取り組みも求められるようになっています。

ラベルの剥離紙問題――なぜリサイクルが難しいのか?

ラベルは一般的に「表面材(印刷面)」「粘着剤」「剥離紙」の三層構造で成り立っています。このうち、剥離紙はラベルの粘着面を保護し、貼り付ける直前までラベルの品質を保つ役割を担っています。

ラベルの構造(表面、粘着剤、剥離紙)

<あわせて読みたい>
【スタッフブログ】シールができるまで

剥離紙の表面にはシリコーンやポリエチレンなどの樹脂がコーティングされています。このため、紙と樹脂の分離が難しく、リサイクルが困難とされています。結果として、「剥離紙は年間13.9億㎡(東京ドーム約3万個分)もの量が廃棄・焼却されており、環境負荷の大きな要因となっています。」
(出典:https://www.shigenjunkan.com/problem - 問題提起,資源循環プロジェクト

世界では進むサプライチェーン全体の環境配慮

近年、製品そのものの環境性能だけでなく、サプライチェーン全体(原材料の調達―製造―流通―廃棄)における環境配慮が、企業に求められるようになっています。特に欧州、北米、EU圏では、企業活動の透明性や持続可能性を法律で義務化する動きが強まっており、環境配慮はもはや”任意の取り組み”ではなくなってきています。
従来のように「自社製品が環境に良いから問題ない」という姿勢は、今は不十分です。製品のライフサイクル全体を通じて、CO₂排出量削減、廃棄物量の定量的な管理・削減に取り組むことが、世界的に”企業の責務”とみなされつつあります。そのため、製品に貼り付けるラベルに関しても、使用素材のリサイクル性や再生可能性が重視され、サプライヤー選定においても「環境配慮された素材かどうか、また企業全体として、環境に配慮した取り組みをしているのか」が評価対象となります。

ラベル業界で進む環境認証の取得

プリンタでエコなラベルを印刷している様子

環境配慮が企業活動における重要課題となる中で、ラベル業界でもその対応が着実に進んでいます。近年では、使用素材のリサイクル性や化学物質の安全性に加えて、製造工程における環境負荷をいかに抑えるかという点も重要視されるようになりました。こうした背景を受けて、ラベル業界各社では環境認証の取得や、化学物質管理体制の強化といった取り組みが広がっています。

弊社でも、環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証を取得し、製品開発や資材調達において環境への影響を抑える体制を構築しています。たとえば、発注・使用するすべての資材(インキや基材等)は、すべて自社基幹システムに登録されたものに限定し、登録前には含有化学物質の調査と環境規制への適合判定を実施。中でも、RoHS2指令で指定されている10物質については、社内で明確に使用禁止物質として指定しており、該当する資材は採用しない運用を徹底しています。

さらに、環境対応への要求が高まる中で大手メーカーでは、独自に調達先に対する環境品質の基準や化学物質管理の耐性を評価・認定する制度を設ける動きが広がっています。これらは製品だけでなく、製造に関わるパートナー企業にも高いレベルでの環境マネジメントを求めるものであり、持続可能なサプライチェーン構築の一環として注目されています。

例えば弊社では、そうした制度の一つである ソニー株式会社の「グリーンパートナー環境品質認定制度」の認定を受けており、日々の業務や資材調達の中でもその基準を意識した体制づくりを進めています。

ラベル業界のリサイクルへの新しい取り組み

資源循環プロジェクトのイメージ画像

現在ラベル業界では、リサイクル可能な素材の開発や、剥離紙のリサイクルプロジェクトが進行中です。例えば、日榮新化株式会社(NEION)が中心となり発足した「資源循環プロジェクト」では、従来廃棄されていた剥離紙をリサイクル専用台紙に置き換え、回収・再利用する仕組みを構築しています 。また、台紙レスラベルやリサイクル素材を使用したラベルの開発も進められており、環境に配慮したラベル選びがブランド価値の向上につながると期待されています。

特にラベルは物流、食品、医薬品などあらゆる分野で大量に使用される副資材であるため、その一枚一枚が環境に与える影響も決して小さくありません。だからこそ、再生可能な素材の採用や、剥離紙を含むラベル副資材のリサイクル体制の構築は、業界全体で取り組んでいくべき課題です。

<資源循環プロジェクトについてもっと知りたい>
資源循環プロジェクト公式サイト

私たちの取り組み

環境に配慮しているエコなイメージ画像

弊社では、例に挙げた「資源循環プロジェクト」への参加、宮崎県が進める「2050年ゼロカーボン社会づくり」実現に向けた脱炭素プロジェクトにも参画し、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの推進を目指しています。 さらに、環境規制対応についても、RoHSやREACHなどの国内外の法規制に適合した体制を整備し、化学物質管理や監査対応に関してもお客様のニーズに柔軟に対応できる仕組みを構築しています。これらの取り組みを通じて、私たちは単なる製品提供にとどまらず、お客様の環境方針の実現を支えるパートナーとしての役割を果たしています。

未来を見据えたパートナー選びを

環境負荷への配慮は、もはや「オプション」ではなく「必須条件」となりつつあります。弊社は、ラベル業界の未来、そしてお客様のブランド価値向上のために、小さなことから一つずつ取り組んでいます。ラベルのこと、資源循環に関すること、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせバナー
TOPへ戻る