耐熱ラベルの選び方|PET・PEI・PIの温度帯と『最弱点』で失敗しない材料選定」

次のような方に向けた記事です
- はんだリフロー・基板実装・高温ベークなど、高温工程を通過するラベルの収縮剥がれ・印字消失・端面のシミだしに困っている生産技術・品質保証の方
- 既存ラベルの耐熱不足で代替材料を探している調達・設計の方
- 高温マスキング用途で、耐熱性と再剥離性の両立を求めている方
「耐熱ラベル」と一口に言っても、150℃で足りる用途から、はんだリフローや基板実装で260〜300℃が求められる用途まで、要求は大きく異なります。さらに、耐熱性はフィルム(基材)だけでは決まりません。基材・粘着剤・印字のうち、最も弱い要素が製品全体の耐熱上限を決めてしまうのが、現場でよく見落とされるポイントです。
本記事では、「とりあえず耐熱PET」で失敗しないために、表面基材3系統(PET・PEI・PI)と粘着剤・印字の使い分けを、温度帯から逆引きできる選定フローと早見表にまとめました。
お急ぎの方へ|すでに使用条件が決まっている場合
「この温度・薬品・被着体でいける材料を早く知りたい」という方は、記事を読み込まずに直接ご相談いただけます。被着体・工程温度・接触薬品・要求年数をお知らせいただければ、候補構成と評価サンプルをご提案します。
1. 耐熱ラベル・耐熱シールとは|普通のラベルとの違い
耐熱ラベル・耐熱シールは、耐熱性・耐溶剤性に優れた基材と特殊粘着剤を組み合わせたラベルです。半導体プロセスやプリント基板製造工程など、高温・薬液が複合する過酷な環境下で、生産管理・物流管理用のバーコードラベル、表示用、マスキング用などに使われます。通常のラベルと同様に抜き加工で自在な形状に対応可能で、貼り付ける製品の大きさに合わせて供給いたします。
普通のラベルと耐熱ラベルの違いは以下の通りです。高温にさらしたときの挙動に明確に表れます。
普通のラベルと耐熱ラベルの違いは以下の通りです。高温にさらしたときの挙動に明確に表れます。
- 普通のラベル:表面基材が熱で収縮し、接着面も剥がれてしまう
- 耐熱ラベル:表面基材が熱で収縮しにくく、粘着剤もしっかり密着を保つ
工程を通過するたびにラベルが縮んだり浮いたりすれば、バーコードが読めず工程管理が破綻してしまいます。耐熱ラベルは「高温でも形状と密着、印字を保つ」ことを目的にして作成されたラベルです。
2. 「耐熱ラベル=とりあえずPET」で失敗する理由

高温時のラベル比較イメージ(普通=収縮・剥離/耐熱=形状・密着・印字を保持)
耐熱ラベルを検討するとき、最初に候補に挙がるのがPET(ポリエステル)フィルムです。コストと汎用性のバランスがよく、150℃クラスの用途では第一候補になることが多いです。
しかし、PETの耐熱はおおむね150℃クラスです。これを超える工程、たとえば基板実装・はんだリフロー、高温ベーク、200℃以上の表面処理工程などでは、PETでは以下のような不具合が起きます。
しかし、PETの耐熱はおおむね150℃クラスです。これを超える工程、たとえば基板実装・はんだリフロー、高温ベーク、200℃以上の表面処理工程などでは、PETでは以下のような不具合が起きます。
- 基材の収縮・変形による浮き、シワ
- 粘着剤の硬化・軟化による剥離
- 印字(特に感熱)の褪色・消失
逆に、150℃で足りる用途にもかかわらず、ポリイミド(PI)のような高耐熱・高単価材料を選ぶと、過剰スペックでコストを無駄にします。「足りない」も「過剰」も避けるには、工程の温度プロファイルを正確に把握したうえで、必要十分な材料を選ぶことが重要です。
ここで多くの担当者がつまずくのが、「基材の耐熱温度」だけを見て安心してしまうことです。ラベルは複数の層の積層体であり、最も弱い層がボトルネックになります。
ここで多くの担当者がつまずくのが、「基材の耐熱温度」だけを見て安心してしまうことです。ラベルは複数の層の積層体であり、最も弱い層がボトルネックになります。
3. 耐熱性は3つの要素のうち「最弱点」で決まる
ラベルは、おおまかに以下の3つの要素で構成されます。
- 表面基材(フィルム)…ラベルの土台
- 粘着剤…被着体に貼り付ける層
- 印字(インク・マーキング)…表示する層
製品としての耐熱上限は、この要素のうち最も低い温度の層で決まります。たとえば、260℃対応のポリイミド基材を選んでも、粘着剤が一般的な耐熱性のものであれば、製品としてはそのレベルで剥離が始まります。同様に、基材と粘着剤が高耐熱でも、印字が感熱方式であれば高温で発色・褪色して読めなくなります。
4. 表面基材3系統の使い分け(PET/PEI/PI)と製品データ
半導体・基板・電子部品工程で実績が厚いのは、PET・PEI(ポリエーテルイミド)・PI(ポリイミド)の3系統です。市場にはPEN・PPSなど他の耐熱フィルムも存在しますが、過酷な工程管理・マスキング用途では、この3系統で温度帯をカバーするのが実用的です。
- PET(ポリエステル)/150℃クラス:コストと加工性に優れる入門グレード。擦過性が高く、電子部品表示や半導体工程管理に。
- PEI(ポリエーテルイミド)/200℃クラス:PETの上位。耐熱に加えて耐薬品性が大きく向上し、溶剤を伴う工程に強い。
- PI(ポリイミド)/260〜300℃クラス:最高クラスの耐熱。基板実装・はんだ工程など瞬間高温・高薬液に対応。
PIは「膜厚」でも耐熱温度が変わる
重要なのは、同じポリイミドでも厚さによって耐熱温度が変わる点です。
- 25μ → 260℃クラス
- 50μ → 300℃クラス
基材の種類だけでなく膜厚まで含めて選定するのが、PI選びの肝です。リフローのピーク温度や保持時間に対して、品番と膜厚をセットで合わせ込みます。
「150℃で足りるか、200℃グレードにすべきか」「使う薬品にこの品番で耐えられるか」—— 判断に迷う段階でのご相談を歓迎します。工程条件をお聞きして、上表から最適な品番を絞り込みます。
5. 粘着剤の選定(特殊アクリル/特殊シリコーン/再剥離)
基材を高耐熱にしても、粘着剤が追いつかなければ意味がありません。サニー・シーリングでは、用途に合わせて2系統の特殊粘着剤を選べます。
- 特殊アクリル系:バランス型。多くの耐熱用途をカバーし、コスト面でも扱いやすい。
- 特殊シリコーン系:より高温域・低表面エネルギー面に対応。高温保持力が求められる工程に。
さらに、再剥離タイプの組み合わせも可能です。マスキングのように「工程後にきれいに剥がす」用途では、耐熱性と再剥離性を両立した「耐熱再剥離ラベル」を選択できます。
高温域での粘着剤選定3つのポイント
- 高温で効いてくるのは「保持力(凝集力)」。温度が上がると粘着剤は軟化し、せん断方向の荷重でずれ・浮きが起きやすくなります。垂直面や荷重がかかる部位では、高温保持力の高い粘着剤を選びます。
- 被着体の表面エネルギーも重要。低表面エネルギー樹脂やシリコーン処理面、油分が残る金属面には専用設計の粘着剤が必要です。
- マスキング後の糊残りを避けたい場合は、最初から再剥離タイプを前提に評価します。
6. 印字方式の耐熱(感熱/熱転写/レーザー/シルクスクリーン)
印字も耐熱のボトルネックになりやすい要素です。
- 感熱方式:熱で発色するため、高温環境では地色が黒化・褪色して読めなくなります。高温用途には不向きです。
- 熱転写方式(レジンリボン):耐熱・耐薬品に優れ、バーコードや可変情報の印字に適します。工程管理ラベルで広く使われます。
- レーザーマーキング:基材を直接マーキングするため、印字が剥がれ・褪色しにくく、耐久性は最高クラス。トレーサビリティ用途で増えています。
- シルクスクリーン(耐熱インク):厚膜印刷で、固定情報(型番・注意表示)の耐久印刷に強い。
可変情報(シリアル・バーコード)が必要なら熱転写かレーザー、固定情報の量産ならシルクスクリーン、という使い分けが基本です。
7. 用途別・選定早見表
よくある用途を「温度帯 × 環境 × 推奨グレード」で早見表にまとめます。出発点の目安として活用してください。
| 用途・例 | 温度帯 | 主な環境 | 推奨基材(品番) | 推奨印字 |
| 電子部品の表示 | ~150℃ | 一般~軽度の溶剤 | PET(SS1255-50) | 熱転写・シルク |
| 半導体工程管理・物流管理 | ~150℃ | 工程内ハンドリング | PET(SS1255-50) | 熱転写・レーザー |
| 溶剤を伴う工程の表示 | ~200℃ | IPA・トルエン・酢酸エチル等 | PEI(SS3250-25) | 熱転写・レーザープリント |
| 基板実装 | ~260℃ | フラックス・高温 | PI(SS5220-50) | 熱転写・レーザー |
| はんだリフロー・高温ベーク | ~300℃ | 瞬間高温・薬液 | PI(SS5220-50) | 熱転写・レーザー |
| 高温マスキング | 用途による | 工程後に剥離 | 各基材 + 再剥離粘着 | マスキング |
8. 失敗しないための選定フローチャート
迷ったときは、次の順序で絞り込むと外しにくくなります。
1.最高到達温度は?(瞬間ピーク・連続のそれぞれ)
- 〜150℃ → PET(SS1255-50)
- 〜200℃ → PEI(SS3250-25)
- 〜260℃ → PI(SS5252-25)
- 〜300℃・リフロー → PI(SS5220-50)
2. 接触する薬品は?
- 溶剤・酸・アルカリが効く → PEI/PIが有利(耐薬品◎)
- 軽度・擦れ重視・コスト優先 → PET(擦過性◎)
3.被着体は?
- 金属・PET・ガラス → 標準的な粘着剤で対応しやすい
- 低表面エネルギー樹脂・シリコーン面・曲面 → 専用粘着剤
4.工程後に剥がすか?
- 剥がす(マスキング等) → 再剥離タイプ
5.表示内容は?
- 可変情報(バーコード等) → 熱転写・レーザー
- 固定情報の量産 → シルクスクリーン
6.形状・数量は?
- 特殊形状 → 打ち抜きで自在に対応/小ロット生産も可
この6問の答えが固まれば、最適構成の8割は決まります。残りの2割(実際の被着体・温度プロファイル・荷重)は、サンプル評価で詰めるのが確実です。
9. サニー・シーリングならではの耐熱ラベル対応

材料の選択肢だけでなく、過酷な工程で実際に使える状態に仕上げるための独自対応があります。
- 端面の粘着剤シミだしを「当社独自工法」で軽減:耐熱ラベルで起きやすい、端面からの粘着剤のシミだし(はみ出し・汚染)を独自工法で抑制します。クリーンな工程ほど効いてくるポイントです。
- クリーンルーム対応品(PETセパ=剥離紙)をご用意:半導体・電子部品工程など、発塵を嫌う環境向けにPETセパレータ品を提供。クラス100クリーンルームでの製造に対応します。
- 打ち抜きによる自在な形状対応・サイズオーダー:貼り付ける製品の大きさ・形状に合わせて供給します。
- 小ロット生産対応:試作・少量から相談可能です。
10. 現場でよくある失敗とサンプル評価の進め方
実際の不具合は、単体材料ではなく「組み合わせ」と「条件の見落とし」で起きます。代表例を挙げます。
- 基材だけ高耐熱にして粘着剤が追いつかない … 第3章の「最弱点」原則の典型。粘着剤の耐熱を必ず確認する。
- 連続温度だけ見て、瞬間ピークを見落とす … リフローや局所高温で破綻。ピーク温度と保持時間の両方を確認する。
- 感熱方式を高温部に使ってしまう … 地色が黒化し読めなくなる。高温には熱転写・レーザーを。
- 耐薬品を見落として溶剤工程にPETを使う … PETは耐薬品が良好どまり。溶剤が効く工程はPEI/PIへ。
- マスキング後に糊残り … 再剥離タイプを前提に評価していなかったケース。最初から再剥離で検討する。
- 過剰スペックでコスト超過 … 150℃で足りるのにPIを選ぶなど。必要十分な品番に見直す。
これらは、工程条件を正確に共有したうえでサンプル評価を行えば、量産前にほぼ防げます。最適な構成を最短で決めるには、次の情報をそろえてご相談いただくとスムーズです。
- 着体:材質・表面状態・形状(平面/曲面)
- 温度プロファイル:連続温度、瞬間ピーク、工程の通過回数
- 接触する薬品・環境:溶剤・酸・アルカリ、クリーン度の要求
- 表示内容:固定情報か可変情報(バーコード・シリアル)か
- 剥離の要否:工程後に剥がすか(マスキング用途か)
- 形状・サイズ・数量:特殊形状の有無、小ロットか量産か
まとめ
耐熱ラベルの選定は、「基材の耐熱温度」だけでなく、基材・粘着剤・印字の最弱点で製品の耐熱上限が決まるという原則を起点にします。温度帯の地図はシンプルで、150℃=PET、200℃=PEI、260〜300℃=PI(厚さで変動)。そのうえで、耐薬品(溶剤工程はPEI/PIが有利)、被着体、剥離の要否、形状・数量を加味して、必要十分な品番を選びます。「足りない」も「過剰」も避けるには、工程条件を正確に把握し、サンプル評価で詰めるのが確実です。
サニー・シーリングでは、PET・PEI・PIの3系統と特殊粘着剤の組み合わせ、端面シミだしを抑える独自工法、クリーンルーム対応、再剥離、打ち抜き・小ロット対応まで、半導体・基板・電子部品工程の過酷な要求に一貫して対応しています。既存ラベルの耐熱不足・剥がれ・印字消失・シミだしでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
サニー・シーリングでは、PET・PEI・PIの3系統と特殊粘着剤の組み合わせ、端面シミだしを抑える独自工法、クリーンルーム対応、再剥離、打ち抜き・小ロット対応まで、半導体・基板・電子部品工程の過酷な要求に一貫して対応しています。既存ラベルの耐熱不足・剥がれ・印字消失・シミだしでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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