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サニースタッフブログ

シール印刷の品質向上に向けて

2023-10-25
カテゴリ:業務紹介
みなさん、こんにちは。シール製造課のTです。
シール・ラベルコンテストの結果発表を明日に控えている(投稿:10月13日時点) ため、少しドキドキしている今日この頃です。

さて、今回は私が間欠印刷機のオペレータとして長年シール印刷にたずさわってきた中で、こだわってきたポイントや、品質向上のためにおこなっている工夫について紹介していきたいと思います。
シールオペレーターが機器の清掃をしている様子
シール印刷の品質向上に向けて
弊社では創業期から、「高品質な製品の提供」にこだわってきています。会社の総意として、”品質向上”という目標は常に掲げられているのですが、個人的に製品の品質を本当に意識するようになったのは、入社して2年ほどたったある日の出来事がきっかけでした。

当時の私は作業にも慣れ、(自分としては)一人前のオペレータとして、日々シールの印刷に励んでいました。そんな私の元に、印刷される文字が非常に細かく、また色数の多い、難しい製品を作る仕事がやって来ました。当時の私にとってはチャレンジングな仕事ではありましたが、なんとか無事、印刷は完了。自分では「今まで以上にうまくできた。」と感じながら、検査工程に渡そうとした時でした。当時の製造部長に、印刷面の不具合(インク詰まりによる印刷不良)を指摘されました。結果、工程内不合格となり、最終検査工程に流される前にロットアウトとなり、印刷を全てやり直す事になってしまったのです。

当時、「これは上手くできた」と感じていた私にとって、それが全て否定されたようで非常にショックを受けたのを覚えています。インク詰まりの原因は様々なものが考えられるのですが、当時の私が起こしたインク詰まりの原因は「版の清掃不足」にありました。版の清掃は毎回行ってはいましたが、細かな汚れに関してはあまり気に留めていないことがほとんどでした。しかし、結果的にその小さな汚れが大量の不良品を生むことになったのです。ショックが尾を引く中、私は歯ブラシを用いて念入りに版の清掃をし、全て作り直しました。合計で2時間以上のタイムロスと量産一回分の材料ロスを出すこととなってしまいました。

私はその時のやり直し作業の反省と経験から、細かな箇所への清掃にも気を配るようになりました。印刷版や材料、設備、ジグ、工具に至るまで、5Sは大切です。正直、時間も労力もかかります。しかし、品質低下や不良とは、「面倒くさい」や、「これくらい大丈夫」という、気持の緩みや油断から生まれてくるものだと思います。面倒くさいことをそのままにしておくと、余計面倒くさいことになり、結果として人に迷惑をかけることになります。私は、品質向上のためにはそういった「面倒だけど大事なこと」を継続していくことが重要だと考え、日々、丁寧なものづくりに努めています。
シールオペレーターが製造ラインを観察している様子
品質維持の為に注意していること
丁寧なものづくりを意識していると言っても、温度や湿度といった要因で品質は大幅に変わってくるものです。工作機械を用いてものづくりに携わったことがある人は、一度は経験したことがあると思いますが、順調にエラー無く作れていると思って安心した時に限って、不良が発生したりします。機械なのに、まるで意思を持った生き物のように動くことがあります(笑)。

ですので、「これをやっていれば、品質は絶対に保証できる」というものはありません。「”これでOK、これで安心”はない」・・という考えを基本に持つことが、品質維持には不可欠だと思っています。ものづくりには、環境や材料の変化に加えて、つくる私たち人間の意識の変化も絡むため、「絶対」を保証することは困難です。ただ、不良品を出さないよう、私たちの心構えと行動次第で、エラーの確率を極限まで減らすことはできると思っています。例えば、冬場などの気温が下がる時期にはインクが硬い状態で印刷を行わないよう暖機運転を行ったり、不良を見逃さない意識が一点に偏り過ぎないよう、品質チェックの項目と順番をしっかりと定めたりなど、仕組みや手順としてできることはたくさんあります。私たちは、日頃から起こりうるエラーを事前に想定して、不良発生を未然に防ぐことを大事にしています。

まとめますと、

・「面倒だけど重要なこと」を欠かさず行う。

・「”これでOK、これで安心”はない」が基本。

・起こりうる問題を想定して、事前に対策を取る。

これらの事をコツコツ続けられているからこそ、弊社は高い品質の製品を生み出せているのだと思います。
後輩オペレータへ
私が後輩オペレータへ伝えたいことは、「効率よりも品質にこだわる」・・ただこれだけです。効率や速さ(早さ)も重要ですが、品質をないがしろにした効率や速さに意味はありません。お客様の目に映る製品は、新人が作ろうが、大ベテランのオペレータが作ろうが、同じ“サニー・シーリングの製品”です。速さを求めすぎた結果、作りが雑になり、お客様の品質基準を満たせなかったら、不良品として作り直しになったり、最悪は他社の製品に乗り換えられる可能性すらあるでしょう。結果的には、自分(自社)にとって不利益になる事ばかりです。速さは自然と上がっていくものなので、まずは品質にこだわるように心がけてほしいと思っています。私も入社当時は1日に2件しかこなせない状態でしたが、現在では1日8件こなすこともできるようになりました。品質も効率も、「基本に忠実であること」が大事だと思います。
シールオペレーターがインクツボを調整している様子
今後取り組んでいきたいこと
個人的にというより、現在シール製造課全体で取り組んでいこうとしている取り組みになります。現在、新規設備を導入し、シール印刷のスキルレス化を推し進めています。かつてはインクツボの調整によるインク量の調整など、職人の技がシールの品質を左右していました。現在は、機械によってインクの盛り量も調整できるようになり、完全ではないものの、おおむね誰もが同じような品質で製品を作れるようになってきたように感じます。印刷職人として今まで身に着けたスキルがだんだん必要とされなくなっていくとも言え、個人的には少し寂しい気持ちもあります。しかしながら、わたしたちのものづくりの設備や方式がどんどん進化し、より高い品質の製品をお客様に提供できるようになっていくことは、すごく楽しみでもあります。私自身、現在身に着けている印刷技術を磨くだけでなく、今後の新規設備をいち早くマスターし、柔軟な発想でより上のレベルのものづくりができるよう、これからも努力していきたいと思います。
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