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サニースタッフブログ

当社職人が語る”加工へのこだわり”と、複合加工の歴史

2023-07-21
カテゴリ:業務紹介
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皆さんこんにちは、経営企画室のWです。私事ですが入社から約半年が経ち、ようやく会社の業務や雰囲気にも慣れてきたところです。会社のホームページに掲載するコンテンツの作成やSNSの運用など、自分の担当する業務に関しての知識はついてきましたが、弊社の得意とする複合加工や、シール製造に関する知識は、まだまだ乏しい…。

そこで、今回は製造現場の第一線で活躍している複合加工課のIさんに直接インタビューをして、弊社の複合・貼合加工のこれまでの歩みや苦労話、またこれからの抱負を聞き、勉強することにしました。


複合加工課I氏

株式会社サニー・シーリング2001年入社。素材と設備の特性を知り尽くした複合加工のプロフェッショナル。他社では加工が難しいと言われてきたフィルム素材の高精度加工を次々と解決し、顧客が求める声を形にし続けてきた。フィルム加工業界における「サニー・シーリング=高い技術力」という定評獲得に貢献した、立役者の一人。


複合加工課の立上げ。当時を振り返る
経営企画室W(以下W):
本日はよろしくお願いいたします。
早速ご質問ですが、サニー・シーリング創業当時は、会社名にも入っている「シール印刷」事業しかなく、現在の主力事業のひとつである「複合加工」は存在していなかった。そうお聞きしているのですが、それは本当ですか?


複合加工課I(以下I):
はい。最初私が入社した頃は、シール事業のみでした。入社から3か月経った頃に、今の複合加工課の前身にあたる「加工グループ」が、ごく小規模でひっそりと立ち上がりました。その段階では「部署」という枠組みですらなかったです。それが22年くらい前ですね。


W:
現在は工場の半分のスペースを占めている複合加工課が、それほど大々的に動いていなかったなんて、正直想像つかないです…。
それに、それまではシール製造をメインにしていたのにもかかわらず、「異なる素材の貼合や抜き加工を行う複合加工をやろう!」となったのには、何かきっかけのようなものがあったのですか?すごく気になります。


I:
最初は「携帯(フィーチャーフォン)のバックライト用テープの加工」を行う案件を、営業が獲得してきたのがきっかけでした。当初は、「出来るか出来ないか分からないけれど、ちょっとやってみようか」…くらいの話で始まったんです(笑)。


W:
携帯電話に用いられる部品の加工が、複合加工課の歴史の始まりだったわけですね。テープとシール、粘着剤を使っているという点でいえば同じですけど…。今まで取り扱ったことがないような未知の素材の加工を行うって、大変なことも多かったんじゃないですか?


I:
まあ大変ですよね。まず素材の特性が分からないですから、とりあえず特定の形に抜くことは出来ても、伸びが発生して全然精度が出ないとか。問題だらけでしたよ。

当時、製品に求められる精度は「±0.2mm」。今では±数十ミクロンの精度も可能ですが、当時はこの精度出しに非常に苦労しました。金型の調整やメンテナンスを何度も何度も繰り返して。。


W:
それで最初の案件は……成功したんですか?


I:
なんとかお客さんの求める精度の製品は完成しました。試作品の納期が2~3週間ということもありましたが、無事形にすることができました。どんな難題も、人間追いつめられると、意外と何とかなるもんですね(笑)。


W:
ノウハウもない中で、短納期!超ハードスケジュールだったでしょうね…。ただ、そのときの成功があったからこそ、次から次へ案件が舞い込むようになったわけですね。Iさんを含めた当時の複合加工課のメンバーの活躍がなければ、今ほど弊社の複合加工課は大きくなってなかったでしょうね。


I:
複合加工課が立ち上がった2000年代初期は、各社フィーチャーフォンを次から次に発表していて、テープやフィルムの加工に需要が多くありました。そういった時代背景も今の複合加工課の発展に繋がっていますね。新規案件が立ち上がったと思ったら、すぐに生産終了になり、また新しい案件が立ち上がる。そんな慌ただしい時代でした。

技術者としての苦悩とこだわり
W:
短いサイクルで案件が次々と舞い込んでくるということは、案件に合わせて異なる素材の特性を覚えたり、加工方法を変えたりしなければならないわけですから、頭がパンクしちゃいませんか?


I:
おっしゃる通りです(笑)。
Aという材料の特性を調べている途中で、Bという材料が入って…。もう本当に大変でしたよ。

今でもよく覚えているのは、ある両面テープの加工ですね。そのテープ素材が非常に高い粘着力を持っていまして、加工後どうしても製品に糊が付着してしまうんです。
その原因を突き止めるために複数の案件と並行しながら調査と検証を行って、何とか製品化までこぎつけました。ところが、試作品を収めようとしたタイミングで、『この製品は違う部品を使って他の国で大量生産するので、もう不要になりました。』とユーザーに言われてしまって…。


W:
…となると、今までの苦労が全て水の泡と。


I:
そうですね。あの時はさすがに、私だけでなく、複合加工課全員落ち込みました。
けど、そんな経験もその後の技術向上にはつながっていると思います。


W:
仕方のないことだと分かってはいても、これまでの苦労を考えるといたたまれない気持ちになりますよね。ちなみに、これまで当社として技術的に不可能と判断したものや試作品が出せなかったものなどあったんですか?


I:
基本的に、私たちの方で試作品が出せなかった・・みたいなことはありませんでしたね。


W:
それはすごいですね!
お客様から頂いたご要望は基本的に叶えて来ているわけですね。そんな期待やニーズに応え続けるために、何か特別なことをしているのですか?


I:
特別というか、今まで取り扱ったことがないような材料や形状、仕様であっても、まずは全力で挑戦してみる…という姿勢は、課員全員にあると思います。保有設備の制限などで課題をクリアできない場合は、お客様の要望に沿った形で代替案を用意するとか、技術部門とも協力して、「できる方法」を常に考えています。
立上げ当初からさまざまな課題にチャレンジしてきたからこそ、豊富なノウハウが蓄積されているんだと思います。「No」といえばそれまでですけど、そこから何も発展しないですし。

職人が見据える未来
W:
お客様の声に寄り添って、一丸になって挑戦し続ける。最高のサービス精神を持っている部署だというのが伝わります。これまで多種多様な課題に挑戦されてきたIさんですが、今後、”こんなことに挑戦したい”というものはありますか?


I:
そうですね。今私が一番やりたいことは、『若い人材の育成(技術の伝承)』ですかね。

これまでの知見はデジタル的にデータとして残しているので、基本的なマニュアルは明確になっているのですが、同じ材料であっても、加工する形状や仕様によって微妙に加工機の各パラメータなど、調整を行う必要があるんです。その調整は結構、感覚に頼る部分が大きいのでどうしてもデータにできなくて…。


W:
やはり微細な調整というのは、職人ならではの技になってくるわけですね。


I:
そうですね。もちろん、なるべく属人的にならないようには工夫しているのですが、人の手による最終調整が必要な部分はどうしても出てきます。

技術を習得するには時間をかける必要があるので、早い内にどんどん若手に技術を伝えていきたいですね。ただ、最近若い人材も減ってきているので、人材の確保も大事ですかね。


W:
求人ページの質を上げて、若い人材の確保がんばれって言われている気がする…。


I:
そこは、ぜひお願いしますね(笑)。


W:
はい。頑張っていきます(笑)。
弊社で加工されたフィルムやゲルは、携帯電話だけでなく次世代エネルギー関連や医療機器、ゲーム機などにも使われています。

DXの進展もあり、複合加工課の技術は今後ますます必要とされると思います。サニーの高い複合技術を、次世代にしっかりと引き継いでいかなければならないですね。


今回、複合加工課のこれまでの歩みや、仕事に対しての向き合い方をあらためて知ることができて、非常に勉強になりました!お時間ありがとうございました。


I:
どういたしまして。しっかり複合加工課をアピールしてくださいね!

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